日本の福祉車両業界では、トヨタのウェルキャブに代表される自動車メーカー製福祉車両のほかに、通常の車を福祉車両に改造する福祉車両改造メーカーが存在します。
今回は、普段あまり知られていない福祉車両改造メーカーについて最大手3社をご紹介すると同時に、様々な福祉車両改造装置をご紹介します。
乗りたい車を福祉車両に改造してくれる福祉車両改造メーカー3選
ミクニライフ&オート(旧ニッシン自動車工業)は福祉車両改造業界の最大手
ミクニ ライフ&オートは、身障者用自動車運転装置及び車いす用昇降リフト等の車両に備え付ける車いす収納装置を得意とする福祉車両改造メーカーです。福祉車両以外でも、住宅の室内の車いすから浴室やベッドへの移乗用リフト等の福祉機器製造・販売・取付も行っている会社です。
取り付け工場は、埼玉県の本社工場のほか、愛知県豊明工場で改造を行っています。
主な製品
レバー式手動運転装置 APドライブ
車いす収納装置 オートボックス
フジオートは障害を持った創業社長自ら開発したメーカー
フジオートは創業社長が不慮の事故により重傷を負い、両足を失うことでスタートしています。「もう一度車に乗りたい」の一心で手動運転装置を自ら開発し、昭和 35 年の道路交通法の改定とともに自ら作った手動運転装置を付けた車で運転を再開。現在も製品製作においては「手作り」という昔ながらのスタイルで行っており、お客様にも車にも合わせた製品づくりを貫いています。
取り付け工場は、東京都の本社工場のほか、全国20社ほどの代理店で改造を行っています。
主な製品
手動運転装置 FC-B
車いす収納装置(アームリフト)BRUNO AWL-150
オフィス清水はヨーロッパ技術輸入のパイオニア
オフィス清水は「福祉先進国の考え方や文化も日本に広めて行きたい」という社長の想いでスタートした会社です。福祉先進国のヨーロッパの改造装置を中心に輸入して、使う方とクルマに合わせた福祉車両に改造しています。国産車・輸入車問わず改造できるほか、改造内容によっては車体の加工をせずに改造することもできます。
取り付け工場は、東京都の本社のほか、全国30社ほどの代理店で改造を行っています。
主な製品
手動運転装置 アクセルリング
車いす収納装置 ピラーリフト
介護向け福祉車両改造のご紹介
ここからは、私が経営する福祉車両ヤマシタオートで実際に改造した福祉車両改造の写真を使って、福祉車両改造の中身をご紹介します。
車いす収納装置
巻き上げベルトの上下操作と自由に折れ曲がる関節アームで車いすの車載をサポートします。吊り上げることができる重量はモデルによって異なり、最大で180kgまで吊り上げることでききるので、手押しの車いすから電動車いすまで幅広く対応しています。
取り付け位置は一般的なバックドアにだけでなく、セカンドシートや後部座席のドア側に取り付けることで、ドライバー自身による車いす収納も行うことが可能です。
車いすスロープ
折りたたみ式のスロープで、車いすの方の乗り降りをサポートします。スロープは脱着式で、使わないときは取り外して通常の荷台使いができます。スロープの耐荷重は最大で400kgまで吊り上げることでききるので、手押しの車いすから電動車いすまで幅広く対応しています。
自動車メーカー製の福祉車両では設定のない車両でもスロープ車に改造できます。
車いす固定装置
荷台や純正シートの位置に加工して、車いす固定装置を装着することができます。手動式から電動式まで、様々な形状に対応します。
回転シート
回転するシートで、乗り降りをサポートします。軽自動車やコンパクトカーなど、座面の比較的低い車に対応しています。助手席など車体の左側にも、運転席など右側にも対応します。
回転昇降シート
回転昇降するシートで、乗り降りをサポートします。ミニバンや1ボックスなど、座面の高い車に対応します。運転席や助手席、2列目シートに取付できます。
ステップ
ドアの開閉とともに電動で出入りするステップで、乗り降りをサポートします。運転席や助手席、2列目シートに対応します。